非結核性抗酸菌症(MAC症)治療におけるクラリスロマイシンの投与法、耐性問題、多剤併用療法について、実臨床で必要となる専門知識を問う上級者向けクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ68歳女性、肺MAC症と診断され、標準的な多剤併用療法が開始された。クラリスロマイシン800mg/日、エタンブトール750mg/日、リファンピシン450mg/日の処方である。治療開始6ヶ月後も喀痰培養が陰性化せず、薬剤感受性検査でクラリスロマイシン耐性(MIC≧32μg/mL)が判明した。
この患者の今後の治療方針として、最も適切でないものはどれか。
適応菌種:本剤に感性のマイコバクテリウム属
適応症:マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
日本の非結核性抗酸菌症の約90%がMAC症(M. aviumとM. intracellulareによる感染症)である。診断は以下の基準による:
クラリスロマイシンは、マイコバクテリウムの23S rRNAのドメインVに結合し、ペプチド転移反応を阻害することでタンパク質合成を阻止する。
MAC菌のクラリスロマイシン耐性は主に以下による:
特に23S rRNA遺伝子変異による耐性は、クラリスロマイシン単剤治療で誘導されやすいため、必ず多剤併用療法を行う。
初期2-3ヶ月間、以下のいずれかを追加:
通常の禁忌事項に加えて、以下に注意:
薬剤 | 主な副作用 | 頻度・対策 |
---|---|---|
クラリスロマイシン | 消化器症状、味覚異常、肝機能障害 | 10-20%、対症療法または減量 |
エタンブトール | 視神経障害、末梢神経障害 | 1-5%、定期眼科受診必須 |
リファンピシン | 肝機能障害、アレルギー反応、体液着色 | 10-20%、事前説明重要 |
アミノグリコシド系 | 腎障害、聴覚障害、前庭障害 | 5-10%、TDM推奨 |
副作用による中断率は15-30%と高く、患者への十分な説明と定期的なモニタリングが重要。
リファンピシンは強力なCYP3A4誘導薬であり、以下の影響がある:
CYP3A4阻害により以下の薬剤の血中濃度上昇:
クラリスロマイシン+フルオロキノロン系(モキシフロキサシン)併用時は、QT延長リスクが増大するため、心電図モニタリングを考慮。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の先駆けであるロサルタンについて、活性代謝物への変換、CYP2C9遺伝子多型の影響、尿酸低下作用を踏まえた複雑な症例での薬物選択と投与設計を問う上級レベルのクイズです。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の中でも特徴的な代謝経路を持つラベプラゾールについて、基本的な薬物動態から服薬指導のポイントまで、臨床で必要な実践的知識を問うクイズです。
第一世代セフェム系抗菌薬セファゾリンの周術期予防投与において、新人薬剤師が必ず知っておくべき再投与のタイミングについて学習する基礎的なクイズです。
※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/18