抗てんかん薬バルプロ酸ナトリウムの血中濃度モニタリング(TDM)の実践、カルニチン欠乏による高アンモニア血症の機序と対処法について、上級レベルの臨床知識を問うクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ28歳女性。てんかん(全般発作)でバルプロ酸ナトリウム徐放錠(デパケンR®)600mg/日を5年間服用中。最近、発作頻度が増加したため、1200mg/日に増量された。
増量から3ヶ月後、家族から「最近ぼーっとすることが多く、時々手が震える」との訴えがあった。血液検査の結果:
この患者への対応として、最も適切な提案はどれですか?
特に以下のてんかん発作型に有効:
気分安定薬として、急性躁病エピソードの治療および再発予防に使用
予防的治療として使用(ただし、妊婦または妊娠している可能性のある女性は禁忌)
片頭痛発作の発症抑制
躁病および躁うつ病の躁状態
バルプロ酸ナトリウムは、複数の作用機序により抗てんかん作用および気分安定化作用を発揮します。
パラメータ | 値 | 臨床的意義 |
---|---|---|
生物学的利用率 | ほぼ100% | 経口投与で完全吸収 |
蛋白結合率 | 90-95% | 高蛋白結合、相互作用注意 |
分布容積 | 0.1-0.4 L/kg | 主に細胞外液に分布 |
半減期 | 8-20時間 | 用量依存的に延長 |
代謝 | 肝臓(グルクロン酸抱合、β酸化) | CYP関与は限定的 |
バルプロ酸は以下の機序でカルニチン欠乏を引き起こします:
成人
小児
患者群 | 用量調整 | 注意事項 |
---|---|---|
高齢者 | 低用量から開始、慎重に増量 | 血中濃度上昇しやすい |
腎機能障害 | 通常用量で開始可 | 遊離型濃度に注意 |
肝機能障害 | 減量を考慮 | 代謝遅延、蛋白結合率低下 |
片頭痛発作の発症抑制の場合のみ
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
カルバペネム系抗生物質 | てんかんの発作が再発することがある。 | バルプロ酸グルクロナイドの生成が促進されると共に、腎排泄が促進され、バルプロ酸の血中濃度が低下する。 |
重篤な肝障害(頻度不明)があらわれることがあるので、以下の点に注意:
モニタリング項目 | 頻度 | 注意点 |
---|---|---|
肝機能 | 月1回 | AST、ALT、ビリルビン等 |
血中アンモニア | 3-6ヶ月毎 | 症状出現時は随時 |
血中カルニチン | 年1回または症状時 | 長期投与例で推奨 |
血小板数 | 3-6ヶ月毎 | 血小板減少の確認 |
骨密度 | 年1回 | 長期投与例、高齢者 |
分類 | 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
---|---|---|---|
精神神経系 | 傾眠 | 失調、めまい、頭痛 | 振戦、不眠、不穏、錯乱 |
消化器 | 悪心・嘔吐 | 食欲不振、胃部不快感 | 下痢、便秘、口内炎 |
血液 | - | 白血球減少 | 好酸球増多、低フィブリノゲン血症 |
肝臓 | - | AST・ALT上昇 | Al-P上昇 |
皮膚 | - | 脱毛 | 発疹、紅斑 |
その他 | - | 倦怠感、体重増加 | 月経異常、多嚢胞性卵巣、歯肉肥厚 |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
カルバペネム系抗生物質 | てんかんの発作が再発することがある。 | バルプロ酸グルクロナイドの生成促進及び腎排泄促進により、バルプロ酸の血中濃度が低下する。 |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
フェニトイン | バルプロ酸の血中濃度が低下する。 | 肝薬物代謝酵素誘導により、バルプロ酸の代謝が促進される。 |
エトスクシミド | 相手薬剤の血中濃度が上昇することがある。 | 肝における相手薬剤の代謝が阻害される。 |
ラモトリギン | ラモトリギンの血中濃度が上昇する。 | 肝におけるグルクロン酸抱合が阻害される。 |
サリチル酸系薬剤 | バルプロ酸の遊離型濃度が上昇する。 | 蛋白結合競合により、バルプロ酸の遊離型濃度が上昇する。 |
ベンゾジアゼピン系薬剤 | 相手薬剤の遊離型濃度が上昇し、作用が増強されることがある。 | 蛋白結合競合により、相手薬剤の遊離型濃度が上昇する。 |
物質 | 影響 | 対応 |
---|---|---|
アルコール | 中枢抑制作用の増強 | 飲酒を避ける |
葉酸 | バルプロ酸による葉酸低下 | 妊娠可能女性では補充考慮 |
カルニチン | 欠乏症の予防・治療 | 長期投与時は補充考慮 |
レボドパ・カルビドパ配合剤ネオドパストンの長期使用に伴うウェアリングオフ現象の機序、対処法、服薬指導のポイントについて、実臨床で必要な中級レベルの知識を問うクイズです。
片頭痛予防薬として使用される医薬品の中で、適応外処方となるものを見極める上級問題です。保険適応の有無と臨床的有用性の違いを理解し、医師の処方意図を適切に把握できる薬剤師を目指しましょう。
チエノジアゼピン系抗不安薬エチゾラムの高齢者における転倒リスク、依存性の問題、適切な減薬方法について、実臨床で必要な中級レベルの知識を問うクイズです。
※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/25