DPP-4阻害薬の第一世代であるジャヌビア錠について、腎排泄型薬剤の特性を踏まえた用量調整、薬物相互作用、2024年の安全性情報を含む実践的な服薬指導のポイントを問う中級レベルのクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ68歳女性(体重52kg)、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を有する患者。現在の処方:メトホルミン500mg 1日2回(朝夕食後)、アムロジピン5mg 1日1回(朝食後)
検査値:HbA1c 8.2%、血清クレアチニン1.8mg/dL、eGFR 28mL/min/1.73m²、空腹時血糖152mg/dL
担当医より「血糖コントロール不良のため、DPP-4阻害薬の追加を検討しているが、腎機能を考慮した用量設定について薬剤師の意見を聞きたい」との相談を受けました。
この患者へのジャヌビア錠の投与について、最も適切な提案はどれですか?
2型糖尿病
「糖尿病治療ガイド2024」における2型糖尿病の薬物療法アルゴリズム(第2版)では:
シタグリプチンは、インクレチンを分解する酵素であるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を選択的に阻害することで血糖降下作用を発揮します。
インクレチンは食事摂取に応答して消化管から分泌されるホルモンで、主に以下の2種類があります:
これらのインクレチンは、血中でDPP-4により速やかに分解され、半減期は1〜2分と非常に短いです。
シタグリプチンはDPP-4を阻害することで:
特性 | 詳細 |
---|---|
DPP-4選択性 | DPP-8、DPP-9に比べて2,600倍以上の選択性 |
阻害活性(IC50) | 18nM(非常に強力) |
DPP-4阻害率 | 50mg投与24時間後も約80%阻害を維持 |
作用持続時間 | 1日1回投与で24時間効果持続 |
シタグリプチンの重要な特徴は「血糖依存的」な作用です:
通常、成人にはシタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg 1日1回まで増量することができる。
腎機能 | クレアチニンクリアランス(Ccr) | 推奨用量 |
---|---|---|
正常〜軽度低下 | Ccr ≥50mL/min | 50mg 1日1回 |
中等度低下 | 30≤ Ccr <50mL/min | 25mg 1日1回 |
重度低下 | Ccr <30mL/min | 12.5mg 1日1回 |
末期腎不全 | 血液透析または腹膜透析を要する | 12.5mg 1日1回 |
従来の添付文書では一部の患者が原則禁忌とされていましたが、最新のガイドラインでは慎重投与として扱われるケースが増えています。ただし、上記の禁忌事項は厳守する必要があります。
項目 | 内容 | 対応 |
---|---|---|
NTTP混入問題 | 発がん性物質の混入が判明(2024年) | 大規模疫学研究でリスク上昇なしと確認 |
急性膵炎 | インクレチン関連薬全般のリスク | 症状の早期発見と患者教育の徹底 |
腸閉塞 | まれだが重篤な副作用 | 腹部手術歴のある患者で特に注意 |
分類 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
---|---|---|
過敏症 | 発疹、蕁麻疹、血管浮腫 | そう痒症 |
消化器 | 腹部不快感、腹痛、悪心、食欲不振、便秘、下痢 | 嘔吐、腹部膨満、口内炎、鼓腸 |
肝臓 | ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇 | - |
腎臓 | - | 急性腎不全 |
筋・骨格系 | - | 関節痛、筋肉痛、背部痛、筋痙攣 |
精神神経系 | 頭痛、めまい | - |
血液 | - | 白血球数増加、好酸球数増加 |
その他 | 鼻咽頭炎 | 浮腫、倦怠感 |
2024年の「インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版」では、以下の点が強調されています:
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
スルホニルウレア剤 | 低血糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取させるなど適切な処置を行うこと | スルホニルウレア剤との併用により、インスリン分泌促進作用が増強される |
インスリン製剤 | 低血糖のリスクが増加するおそれがある。インスリン製剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取させるなど適切な処置を行うこと | インスリン製剤との併用により、血糖降下作用が増強される |
ジゴキシン | ジゴキシンの血漿中濃度がわずかに上昇したとの報告があるので、適切な観察を行うこと | 機序不明 |
シタグリプチンは以下のトランスポーターの基質です:
薬効分類 | 注意事項 |
---|---|
他の糖尿病用薬 | 低血糖リスクの評価と用量調整 |
CYP3A4基質 | シタグリプチンはCYP3A4を阻害・誘導しない |
CYP2C8基質 | シタグリプチンはCYP2C8を阻害しない |
腎排泄型薬剤 | OAT3を介した相互作用の可能性 |
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※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/24